令和5年 9月の営業について
今日も朝のワイドショーでは、獲れるはずのものが獲れるはずの時期に獲れるはずの場所で獲れないニュース。松茸、秋刀魚、と今まさに蕎麦の実でも直面している頭の痛いニュースです。私たちのDNAに刻まれている「秋にはこれが食べたい!」がなかなか叶わない状況。獲れないなら食べなければいいと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、それでもやはり松茸や鱧の香り、旨味がしっかり溶け出したお出汁は何とも言えずに美味しく、体中に染み渡る気がしますし、こんがりと焼けた秋刀魚を大根おろしと酢橘と一緒に口に入れると、秋が来た!と感じるものです。誰が何と言おうと、私的「重要無形文化財」。後世に残すため、守るべきものです。
毎日メニューを組み立てながら、値付けに頭を抱える大将の苦悩は、漁師さんや農家さんのそれと同じだなと思い、今朝のニュースを見ておりました。例年の値段でとはいきませんが、やはり今年も食べていただきたいという思いで、食材を仕入れ、美味しく料理します。そして、今こうして苦労しているうちに、どこかの海でいつかの豊漁に向けてたくさんの秋刀魚が準備してくれていますように、山の奥では松茸が育つための雨を待ってくれていますように、と願うばかりです。ちょっと弱音を吐きましたが、食欲の秋。皆さまのご来店をお待ちしております。
蕎麦の実 女将